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「あけましておめでとう」

「あけましておめでとうございます……げんいちろーさん、今日、何日かわかっています?」

「コタツでみかんを剥きながら睨んでくれるな、仕方ないだろう、あの管理人がせっかく書いた新年専用日記を消してしまったのだからな」

「……貰った年賀状の挨拶文を一生懸命写していたのにね……ちょ、入ってこないで下さいよ!狭いんですから隣は駄目です!てゆーかそろそろ家に帰らないと朝日さん心配しますよ!」

「(聞かない)その上貰った年賀状をまだ返してないらしいからな」

「え、三が日過ぎてるのに!?」

「仕方ない、1日からバイトがあったり日帰りで滋賀に行ったりトンネルツアーに参加したり自分の誕生日に残ったケーキ食べて気持ち悪い上にキングダムハーツの3Dで酔ってヘロへロになったりして大変だったらしいからな」

「……り、理解不能なのがいくつか混じってますけど」

「流石に6日前のケーキのいちごは酸っぱかったらしい」

「……何でそこで気付かないのですかね」

「先ほども少し消費期限の切れたサンドイッチを食べ、トマトとレタスが酸っぱかったなどぬかしていた」

「学べよ!!」

「仕方がない、食べるものがないのだから、ついでに俺にミカンをひとつくれ」

「いいですけど、はい……って、さっきまで管理人バイトだったような気がしますが、でも家に帰れば」

「母親がいなかったらしい」

「それは」

「……このミカンすっぱいな、で、母親が3日連続で、遊びに行っているのだ」

「でも」

「食事は2回分しかなかった」

「え」

「それもカップラーメンとおせちの残りだ」

「――――」

「いや、ケーキもあった、そのケーキで気分が悪くなり、何食分かは平気らしかったがバイトから帰って何もないと流石に泣きたくなるらしい」

「……なんか、おととしも似たような事ありませんでした?」

「だから、サンドイッチを食べたのだ」

「………」

「そしてこれからキングダムハーツをするらしい」

「馬鹿か!!」

「見るテレビもなく、淋しいらしい」

「…………だったらその間にリクを書くか、レスすればいいのに……」

「駄目だ、もう気持ち悪いらしい」

「どんだけやわいんだアイツ!!」





もえどころのないssですいません



.
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知ってるか

死神はりんごしか食べない






「で、貴方は死神なのですか」

「どうしたの、先生」




少し冗談まじりで、でも確かに本気で言った台詞を真顔で返された

常日頃からこの私が勤める月華修学院に常識を持つ人間はいないと思っていたがこうやって常識0の薬中に真顔で返されると答えるモノがある、そう私は思い、別になんでもありません、と簡潔に返答する

一方、質問を質問で返すという反則技をかました本人はぱちくり、という感じで職員室の床に地べたに体育座りをし、私の机の引出しに背中を預け此方を見上げていた

もう年は三十を越えてそろそろ四十路を迎えるというのに、その幼い仕草に私は少し面食らいため息を吐く

無論、ため息を吐こうがくしゃみをしようが、――宝生紫陽さんは私から視線を外そうとしない



いや、別にいいんだけど、今昼休みだし、いくら見詰めてもらってもまだ時間あるし

この人が昼休みに関わらず休み時間を狙って職員室にふらっとやってくるのはいつもの事だし

なんか知らないけど桔梗先生も羽月先生も他の先生ですらいないし(それは怖い)

……いや、この人が来ると職員室がガラガラになるんだけど


ふいに浮かんだ怖いけどありえる想像から逃げるように手元のテスト用紙に目を移した

しかし紫陽さんの子供のような視線に耐え切れず、私は業務用の椅子を半回転させ向き直る

紫陽さんはいつもの黒いシャツといつもの草臥れたGパンを履いていた

いつもの格好なのに、いつもの職員室なのに、紫陽さんがいるだけで異世界のワンシーンのようだと私は素直に思ったのに、紫陽さんは先生パンツ見えそう、ととんでもないことを言った




「……この前の日曜日、大学時代の友達と映画を見に行ったんです」




私はぎしぎしと痛む頭を抑えつつ言う

紫陽さんはあからさまに眉を顰めた



「男?」

「……女です、あ、映画知ってます?DEARHNOTEって奴なんですけど」

「知らない、けど行きたかったら連れてってあげたのに、葵の車で」

「あのですね、ただでさえ今日教師は色んな方面で叩かれているのに、休日に特定の生徒の父兄と出かけるだなんて、……しかも上司の車で」

「安心して、助手席に乗せるのは先生だけだよ、しかも僕一応リコンして独身だよ?」

「……それ以前に免許ないでしょう」



話がそれたことに、私は肩を竦めた

そんな私を見て紫陽さんは不機嫌な顔を戻し、また邪気のある笑みで此方を見る

無論、体育座りのまんまである



「……それで見に行ったんですよ、映画、そこで月っていう主人公がLっていう探偵に当てた手紙というかなんと言うか、暗号に書いてあったんです、『知ってるか?L、死神はりんごしか食べない』って、ま詳しい台詞は忘れちゃいましたけど」

「それでどうして僕が死神に?」

「……」



映画自体には興味はないが不思議そうに訊ねる紫陽さんに私は黙って私の机に置いてあるスーパーの袋を指差した

教科書や出席簿、雑然としているわけではないけど、考査前ゆえに少し散らかった机の上にでん!と乗ったやや大きめの白いビニルの袋

中には真っ赤な林檎がごろごろと沢山

質から見て多分販売品だろう、林檎の明確な時期は知らないけど今の時期結構高いんじゃないだろうか?と思う(それ以前に紫陽さんの御仕事はなんだろう、失踪中だしなぁ……)

今の時間帯は昼だが、別に私の御弁当というわけじゃない(というか、弁当を大切なテスト用紙や出席簿の上に置かない)

もってきたのだ、このとんでもない父兄が

いつもの邪気のある笑みを浮かべて



『あげる』

『……どうも』




別に自分を姫なんてと思うわけじゃないけど、私は紫陽さんに魔女を見た






「先生林檎は嫌い?」



少し意識を飛ばしかけた私に紫陽さんは呼びかける

私は少し悩んで、もう一度肩を竦めた



「……嫌いじゃないですけど、こんなには食べれません」

「一気に食えって言ってるわけじゃないよ、持って帰ってもいい、でもただ一口だけでいいからココで食べて」

「…またいつかの劇薬チョコですか」

「違うよ」



ふいに、紫陽さんは立ち上がり、そのまま私の机に手を伸ばし、スーパーの袋からとびきり赤い林檎を取り出した

黒いシャツから覗いた手首は白く、儚く、私のそれよりも細い


……そういえばこの人が何か食べてる所見たこと無いな、チョコ持ってし、ともゑ君も甘いもの好きだし、でもその癖2人とも細いし

昔りんごダイエットってのもあったな、まぁ林檎だけで死神なんて飛躍しすぎだけど、でも死神より性質悪いよね、紫陽さんって









「メタファー」










静かな職員室に紫陽さんの声が響く

驚いて紫陽さんを捜すと、おもいっきり目の前にいた

というか、膝に据わられていた

横座りだった






「禁断の果実、食べてもらおうと思ってね、先生」





ま、食べたのは善悪の実であって林檎じゃないんだけど

しかも女を誑かしたのは蛇なんだけど

そう言って、紫陽さんは手に持った林檎を、しゃく、と皮のまま美味しそうに齧った




「――――」




いつもの口説きにいつものように無理ですといえなかったのは

しゃくしゃくと租借する様が可愛い可愛い双子の教え子に見えたからか

微笑んだ邪悪な笑みが、ヘビースモーカーな上司に見えたからか

それでも気品あるそのたたずまいが桔梗さんに見えたからか

まぁ、知らないけど





「先生、俺を食べてくれない?」




暗喩(メタファー)にしては直球過ぎると思いつつ、差し出された真っ赤な果実に口をつけたのは、たしかに死神でもなく蛇でもなくに人に誑かされたからだ

なるほど、これは性質が悪い





「人だから人に惹かれるんだよ」




だから応えて、先生



そう言って睫毛に影を作り、ゆっくり迫ってきた甘美な唇を遮るように鳴り響いた昼休みの終わりのベルを、ありがたく思い、少し憎らしく思ったのは初めてだった







変態受けの奴がノンケの攻めを健気に大好き襲って襲ってというけど一切手を出さなくて、攻めもそんな受けを遠からず近からず思っているのがいい


と、言うだけの話(前フリ長ッ)




(脱兎)

と、言われてもおかしくないくらい自分の好みというかなんと言うか、とりあえず私はマイナー思考だ!むしろマイナー嗜好だ!どうだ、悪いか!という気分です、zuizuiです






さて



毎回毎回わけのわからん始まりですが、最近携帯が熱いです

いや、別に電池が故障している訳でもありません

携帯ゲームが熱いのです、zuizuiの中で

歪アリに一夜に花ロマ










あ、花ロマはヒロイン×紫陽です










え!?紫陽×ヒロインじゃなくて!?


はい、ヒロイン×紫陽です

苦情は一切受け付けません、私はヒロイン×紫陽です(きっぱり)



えー、この前ヒロインVS紫陽のSSSを書いて、もうこのまま掛け算しちゃえーと掛け算したら思わずフィットして、あー、いーなーみたいな

菫がツンデレなら紫陽もツンデレでいいんじゃね?くらいのいい加減さです

設定としてはヒロインに紫陽さんが猛烈片想いって感じにアタックしまくるんだけどヒロインスルーで

ぶっちゃけ武和田武(精神的猛烈デレデレ襲い受け)じゃん、とお思いでしょう

はい、そうです(をい)

しかし、武和田武では叔父さんが武村さんの奇行にドン引きで、武村さんも和田さんも亜莉子も好き、という感じですが

ヒロイン×紫陽は紫陽さんがヒロインを(嫌な奴→気になる存在→すれ違い→もっと気になる→好きと自覚→否定→しかしやっぱ好き→気づけば→だったら手に入れてやる→ストーカー開始(これは原作と同じだ、勝手に電話番号調べたり職場におしかけたりしたから)という感じに)好きになって猛烈ツンデレデレデレデレ(配分おかしい)するんですが、ヒロイン、書いてる本人が切ないくらいにスルー

あ、ツンデレデレデレとは、ツンがデレを覆い隠せていない(デレが多すぎてツンが見えない)ことです、zuizuiの造語です

紫陽さん的には王道の恋愛漫画のようだ、と自分の恋愛を語りますが、ヒロイン的にはめっさ迷惑、この人、くらいしか思ってません

だって、紫陽さん妻帯者+2児の父だもん

小説を本格的に書いてみたいですが、ぶっちゃけとんでもないシリアス+ドロドロ愛憎劇になりそうで怖い、つーかなるよ

生徒の父親(失踪中、薬中毒者)で上司の兄

優子さんから葵さんを奪い、菫を奪い、ともゑを奪い、紫陽さんを奪い(自分の意志とは関係なしに)、そして宝生を奪う









優子さんに刺されてもおかしくないね!!

ロマネスクってる場合じゃないよ!!









「邪魔なのですが」



綺麗に整えられた眉が寄せられる

化粧っ気のない顔に浮かぶのは不機嫌と苛立ち

声は極めて冷静で、纏う空気も通常と変わりないのに、表情にはありありと浮かぶ先生の心情に僕は笑みをこぼす

仕事中、しかも葵と桔梗が席を外している時間帯を狙って君に接近したのは、少しばかり卑怯だったかもしれない、でもそうしないと逃げてしまうでしょ

きっと今ごろ葵と桔梗、真っ青な顔してこっちに向かってるだろうね



僕は葵と桔梗の事を頭の外にやり、今だこちらを見ずに背中を向けている先生に眼を向けた

今何しているの?答えない先生

僕の存在を邪険に思いながら、手だけはカタカタとノートパソコンのキーボードに滑らせて

現代文のテストを作ってるの?そろそろ期末だろうし、大変な時期だね

僕は業務用の椅子に座る先生に手を伸ばし、肩を抱いた

以前より痩せた身体は、服の上からでもわかるほどかすかな温かみを宿していた




「拒絶」



ピクリ、と動く、彼女の肩




「君のロゴス」

「馬鹿言わないで下さい」




先生はぴしゃりと言った

キーボードの音が止まる




「ロゴスは、宝生の家の人のでしょ」

「うん」

「私に、傷みを分かち合うとか、分け合うとか出来ないでしょ」

「うん」

「いい加減なこと言わないで下さい」

「ごめんね」




僕は謝った、頭は垂れなかったけど、深く誠意を持って

先生は不機嫌なままキーボードの上に置いた手を外した

そしてこちらを見上げる

切ない瞳、淡く残る焦燥




先生は優しい

だから、僕らの傷みがわからない事がもどかしいらしい

傷みを解放できる先生だからこそ、別の傷みを産むことも出来る

それで先生は自分も知らないまま傷をつけるんだけど

でもね、傷みなんて本人にすらわからないものなんだよ

どんなに深い傷でも、本人の知らない間に時間と共に縫合するし、逆に小さな傷でもふいに化膿し傷みを増す

同じ傷を持つはずの菫とともゑですら形が違うのに

分かり合えないんだよ、だからこそ先生に皆惹かれる

違うからこそ、皆惹かれる

自分が知らない道へ、導いてくれそうな気がするから




「拒絶しないで」

「しません」

「否定しないで」

「しません」

「邪険にしないで」

「……仕事の邪魔さえしなければ」

「僕だけ見てよ」

「それは無理です」




だろうね、僕は笑った

そして腰を曲げ、肩を寄せて、先生の首筋に鼻を擦りつける

先生は払いもせずにそのままにして、カーソルボタンが点滅するノートパソコンに向きなおった

馬鹿な女

拒絶したらいいのに、そんな甘い顔見せてるからともゑに噛みつかれるんだよ、桔梗と葵になめられるんだよ

でも出来ないんだよね、拒絶して壊れるのは僕らだけじゃないから

馬鹿な女、だから好きだよ、先生




僕はゆっくりと顔を動かして、ともゑが噛み付き、桔梗が消毒したという首筋にそっと唇をつけた

宝生のバラ園のあの白い花のように、薄くが薫ったそこに凭れかかるように額を擦りつけ目を閉じた

先生の柔らかな吐息が聞こえたのは、きっと偶然じゃないだろう




今廊下をバタバタと走る般若のような顔した桔梗と、少し引いた葵が来るまでと僕は先生に言って本格的に肩を抱こうとしたらそれはペシって払われた

しかし先生はまるで菫かともゑを見るように、困ったように微笑んでいたので文句を言わずに甘い声を、上げてみた



「抱いてよ、先生」

「厭です」




またそっけなく返された一言に、僕は少し重めのため息を吐いた







と、また一切関係ないSSSなんですが、ぶっちゃけもっとギャグが良い

誰かヒロイン×紫陽(または武和田武)を書いてくれ







ネプ理科のADホリケン、誰かに似てるんだけど、誰だろ



(脱兎)


オリジナルなのか版権なのかわからん話

とりあえず超暗く、色んな方面に喧嘩を売る話

作者は臆病なので、文句を言っちゃう方は見ないで下さい

突発的なものなので、あまりお薦めでもない




注:ぶっさけ、この話は暗いですが、元になる行事は結構明るく行われます

あくまで創作、あくまで作文

おーけぃ、おーけぃ、文句もいわねぇしパケット代が嵩んでも何もいわねぇ!という猛者だけお読みください

では



(脱兎)

続きは此方



純愛書きて―、と唸っているzuizuiです

バイトで疲れてるんだったらさっさと寝ろと自分に言いたいですがやれないことを今やっておく

やっておかんでもええことなのに

あー……明日油絵やんなきゃ、あとポスター10枚書く………




んで、話は戻って純情

……ぶっちゃけ「ちゅーもえっちもしないし、それどころか手も繋がないマジ中学生以下の話しか書いてない奴が何で今更純情なんだ?(昔書いた18禁ですら最終的には入れなかったのに(爆))」ですが


いや、なんか書きたいし(真顔)

で、終わっちまうんです




もういちゃいちゃして欲しい

いちゃいちゃして書いてる私が絶望を感じてしまうようないちゃっぷり

しかし、ボディタッチ及びボディランゲージなし

一歩引いてまた一歩、少し距離を感じるほどの距離で向かい合わずに同じところをみて話してる


「青いな」

「空だからね」

「白いな」

「雲だからね」

「まだまだ暑いな」

「夏だからね」

「何故私は屋上にいるのだ」

「私が一緒に授業サボらないかって誘ったから」

「乗ったのか、私は」

「二つ返事でね」

「そうか」

「そうだよ」

「……青いな、空」

「白い雲だからね」

「まだまだ夏だからか」

「彼岸も遠いね、熱いよ、ここが」

「熱いのか」

「ああ、凄く、でも苦しいけど心地いい、悪くない」

「悪くないのか」

「ああ、好きだから」

「………」

「………」

「……」

「………」

「……」

「……………」

「……おい」

「ん」

「今な、こう、一瞬だけだがな」

「何」

「お前を好きだと素直に思った」

「奇遇、同じ事考えてた」



そして顔も見合わせずにほくそえむ



((なんだやはりこいつわたしのことがすきなんだな))






うわ~~~~~~~~~~~~~~(略)~~~~~~~~



zuizuiの趣味は一般的に普及されてないようなのです

これだけでもすっげー甘いのですが


「ふふふ、××はかわいいねVV」とか

「○○……愛してる☆」とかは苦手です(ワレながらセレクトに古さを感じる)




しかしそれにも憧れる(何それ)



あー……、すってきな恋愛を見て癒されたい~…(自分はメンドイ)








「きっとね、私は恋をしちゃいけないの」


太陽を遮断する為はなく、心地よい風を室内へ運ぶように作成された薄いカーテンが大きく靡く

じっとりと湿った夏にしてはあまりにも心地よすぎる風にいつのまにか僕の半そでから伸びた腕に鳥肌が立っていた

腕の色は小麦色をしていて、この受験の時期に遊び呆けていたことがばればれの自己釈明なのだが、彼女はくすりと笑っただけで何も言わなかった



「恋をしたら忘れてしまうわ、高鳴るときめき、甘美な台詞、夢のような展開に、ご都合主義の物語」



そんな僕とは対照的に身体の色素という色素をごっそりぬいた彼女の色は真っ白だった

瞳と唇だけが血のように赤い

老婆のように真っ白な髪に生気は宿っていないが、死は近づいていない

何億人に一人という、むしろ宝くじを当たるより確率に低い病気に当った彼女はついているのではないかと思ってしまうがそんな事はない

今外で唸りとも叫びとも知れぬ泣き声を上げている蝉のように、彼女の命はこの夏で終わってしまう



「恋をしたら絶望するわ、自分が思い描いた通りの全てを打ち砕かれて、現実の厳しさを見せ付けられて、甘っちょろい夢によっていた自分がどれほど矮小でどれほど救いようがない井の中の蛙なんだって思い知らされるわ、所詮、自分が偉そうに語ってきた全てが絵空事でしかないって知ることになるわ」



ホスピスという場所は死が溜まっている

患者の生を一つ一つ侵食し、削り取る

そして死が支配する

ゆっくりと、それは泣きたいほどにゆっくりと

彼女もきっと、そんな絶望的な毎日を送っているのだろう



「誰かを想いたい」



彼女は呟く



「誰かを想って壊れそうになりたい、誰かの言動に一喜一憂したい、誰かの行動にどきどきしたい、身を焼け尽くすような恋がしたい」



彼女は、悲痛な叫びを



「恋がしたい、この頭の中を、愛しい誰かで一杯にしたい」



僕に




「恋がしたくて、死にそうなの」




彼女は笑った

真っ白いシーツ、真っ白い床、壁、天上

色素が抜け落ちた彼女

黒のない部屋

死のない部屋

生のない部屋

逃げ出せずに、ゆっくりと死を待つ

後少し

後少し生きたら、死んでしまう



「知ってるかしら」



―――心臓は脈打つ回数が決まってるの

どんな動物でも十億回脈を打てば死んでしまう



そんな彼女の囁きに、僕はじっとりと汗をかいた掌をTシャツに当てた

どくんどくんどくん

不随筋である心臓はポンプ式に血液を全身に送り出す

肺に空気、脳に酸素

生き急ぐような感覚

死に戸惑う現状

出来ることなら、こんな白から君の手をとって、僕と同じような色の下へ



「恋をする人って短命なんですよ」



きりりきりりと痛む胸を必至で押さえ

寝る間も惜しんでこんな山の奥まで来て

何もいえないのに

何も帰ることも出来ないのに

ただ、どくんどくんと時は過ぎる



(きみを想って壊れそうで、きみの言動に一喜一憂して、きみの行動にどきどきして、身が焼け付いてしまいそうで、この頭の中が君で一杯なのに)



「私を好きになってくれたら、貴方を道連れにできるかしら」




なんてね、と彼女は笑った

冗談よ、とまた笑った

信じないで、そんなことされたら死にきれないわ、と最後にもう一度笑った


真っ白い部屋

太陽の光を遮断しないカーテンの性で、僕の泣き顔はよりみじめったらしく写っただろう

その証拠に彼女は困った顔をしていた

もう来ないでと言ってるような気もした

それでも僕は尋ねるのだろう

眩しい太陽が照らしつける山道を歩いて、肌を真っ黒に焼いて

命をすり減らし、彼女に会いに

きっと、明日も明後日も




「(だって、きみをおもってしにそうなんだ)」



僕は君に恋をしている




end







また何を書きたいんだろう……

不完全燃焼ばっか……

もうねる!!



(脱兎)

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