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まずはコメントレス

びーぃむ!


>yayoi様


こんにちは、最近好き勝手が過ぎてきた『君声』ブログにようこそです

一応管理人をしています、zuizuiです、どもども


さて

……難しいですヨ、ブログって

楽しい機能も沢山有りますがzuizuiに使いこなせるのは少ないです

もっと楽しみたい!!とか思っていますが日々を書き綴るのが精一杯でした

しかしyayoi様のように、コメントや生暖かい視線で元気になる事も多いです

やっぱりブログって楽しいです

唯一更新が出来つづけそうなブログの糸を切らないようにまったりまったり進めていきますので、ちょこちょこっと見にきてやってください

それでは、また

(脱兎)




タンスに物凄い派手なパンツが入ってました

青のTバックでヒラヒラ

履く勇気もなく、また仕舞った意気地なしのzuizuiです、こんばんわ



さて

zuizuiの後ろの席に座っている『暁のソラ』管理人ティアちゃんですが、面白い人ですよ

前に彰藍がzuizuiに「菊丸夢書いて!」と無理難題を吹っかけて無理やり書いたのがモスビーなのですが、ティアちゃんも言いました

キラ夢を書けと



KI RA YU ME!?

あー、別にBLEACHの吉良イヅル夢でも無ければ、DEATHNOTEのライト(キラ)夢でもありません

ガンダムシードデステニーのキラ

キラ・ヤマト夢


おいおいおい、十八番が違うっつーかお里が違うのにつーか俺ガンダム好きじゃないし知らないよ?設定、それでもいいの?いいのかよ!やってやろーじゃん!zuizui
なめんな!!

……と、こんなやり取りは無かったのですが、ティアちゃんは侮れません



「女子高生のトリップ夢書いて」



何ですと!Σ( ̄□ ̄:)

トリップ夢……トリップ夢とはまたアレな……



とまぁ、うだうだ言いましたが、結局書きました、難産でした

しかも前半無糖なSS(長)

ふふふ、ティアよ、zuizuiが甘甘のラブラブ逆ハートリップ夢がかけると思ったか!?

………ホント期待に添えなくてすんません、何か、ホラ、ね、人には得て不得手があるからさ、ね?


そんなこんなでティアちゃん許してくれました

やっさC!


しかしまた試練を御与えになりました




「なんか、『テレビの芸能人とか見てきゃー!!とか言っているヒロインを嫉妬する跡部夢』を書いて」


長!!と、思いつつ、これなら書けると思いました

あと、アンケに「氷帝日常夢」を希望されていたので、ここにて叶えておきます

と言ってもSSSなので、あんま期待せずに

では↓












「俺だって泳げるぞ!!」









「……んで、何で俺らこんな寒い梅雨の季節に海パンいっちょでプールサイドに立ってんだよ」

「……文句言わんの、がっくん」

「……でもなぁ宍戸とかヤバイ顔してんだよ、ホラ、日吉なんてさっき倒れてたぞ」

「……しかたないやん、跡部の彼女がイアンソープにめろめろやねんて」

「……何で今水泳なんだよ、サッカーだろサッカー」

「……そんなん俺やて知らんわ」

「……滝はラッキーだよな、この日に限って休みで……」

「……日吉にボコられて病院送りになった鳳も羨ましいわ……」

「……てゆーか、跡部の彼女がそいつにめろめろで、何で今日のトレーニングが寒中水泳かわっかんねぇよ」

「……プライドやねん、男のプライド…」

「……鼻水たらしながらガタガタ言ってもカッコつかねぇぞゆーし」

「……ま、付き合ったろうな、な?」

「……俺もう限界なんだけど」

「……ふし浮きでもしてたらあったかなるわ、……って、ジロー!!!プールん中で寝たらあかーん!!!」

「ちょ、ゆーし!!プールサイド走ったら転……、あーあ……」




と、まぁこんな感じ

氷帝日常SSって彼女に振り回される跡部とそれに振り回される忍足とがっくんみたいな感じですね

滝様は一人平和、一番不幸なのは宍戸

日吉に逆らえない鳳とそんな鳳が羨ましい日吉

跡部と樺地は親友で、榊先生は見守っています

ジローは滝様と違うベクトルで好き勝手生きている

立海も好きだが、氷帝が1番好きかも知れない

それでは、ちょこちょことアンケリクをこなしていきます

まったり、まったり

(脱兎)
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人が恋に落ちる瞬間とはどういうものか

30文字以内(句読点を含む)で答えよ




「好きです」




にっこりと、いつもと何ら変わらない様子で大和祐大は微笑んだ

私のバックにさんさんと輝く夕日のようなサングラスが甘く光り、眩しい

私は目を凝らすように(大和祐大から見れば睨んでいるように見えたかもしれない)してそのサングラスを覗く

オレンジ色は不透過で私に真実を見せてくれなかった



「君の瞳が好きです」

「………ピンポイントのみですか」

「かもしれません」



大和祐大はにっこりと憎らしい程綺麗に微笑んだ

しかし、やはりと言っていいのかオレンジの丸いグラサンをしているのでその目が微笑んでいるのかわからないかった

私はゆっくりと視線をずらそうとするが、上手くいかず、それでも諦めずによりしっかりと大和祐大の瞳の中を覗こうとした

……てゆかさ、おかしいよね、ガクランにグラサンって、よく竜崎先生が怒らないな
そんな馬鹿げた事を私はボーっと頭の隅で考える

そんな私を見て大和祐大はもう一度にっこり微笑んだ



「君の瞳がとても好きです」

「……へいへい(女として見てねーよ、その台詞)」

「美しいとは思いませんが?その烏のような黒」

「生ゴミ臭いって言いたいんですか」

「それは被害妄想です、都会の烏は不味いですが、田舎の烏は肉がぎっしりしててとても美味しい」

「一応都会の烏なので食べないで下さい」

「貴女なら烏であろうと食べますよ」

「カニバリズムは引きます」

「比喩ですよ、それに私がすきなのは君の瞳」



そういって大和祐大は私に一歩だけ近づいた

私は一歩下がろうとするが、足が動かない

丸いオレンジのサングラスが眩しい、まるで夕日がそこにあるみたいだ

焦がれても、手を伸ばせない

見つめられたなら、動けないほどに




「そんな、君の瞳の中に唯一存在できる瞬間、―――冥福ですよ」





そう言って大和祐大は真顔を見せた

おいおい違うだろ、ここはにっこり微笑んでだな、と私は眉間に眉を寄せた

それをみて、大和祐大はプッと吹き出した

私は眉を寄せる




「ズルイ」

「男と言う物はそんなものです」

「そうですか」

「さて」

「何です、私さっさと家に帰りたいです」

「後少しです、エンディングまで傍にいてくださいよ」

「じゃ、どぞ」

「君にとって恋に落ちる瞬間とはどういうものか、僕だけに教えてくれません?」

「……」

「ちなみに僕は――、ああ、さっき言いましたね、帰宅をせがむ君の為に省きましょう」

「………ズルイ」

「性分ですよ」



ですからねー、ととても間延びしたように大和祐大は笑う

オレンジの光が差し込む

遠くで野球部の掛け声が、テニス部のボールの音が聞こえる





「貴方が私に恋に落ちる瞬間を教えてください」




こうやって会いに来るのは楽しいのですけれど

やはり、実が結ばれないとつまらないですから

そう言って大和祐大は笑った

スガスがしいほどの笑みだった

その笑みに降参したのか根負けしたのか馬鹿らしくなったのか(多分、馬鹿らしくなった)私は一歩踏み出して、目の前の大和祐大の肩に手を置きぎりぎりまで顔を近づけた

それをみて大和祐大はとても嬉しそうに微笑む

私は瞳を閉じて言った





「貴方の瞳の中に、私の瞳が見えたときです」





その瞬間、狙い済ましたように唇に舌先が触れたのは、(悔しいので)既知のうちとでも言っておこう





またまたサルベージin大和

ちょっぴり加筆修正




「それじゃあな」




そう言って苦笑いで去っていく真田先輩に、また私も苦笑いして手を振った

少しだけ躊躇いがちに開かれた部室のドアから見えた外は生憎の雨でなんて新しい門出に似合わないんだと思う

それでも真田先輩は傘を持っていないのに部室から一歩歩いた

ドアの隙間を凝らして見ると、見えたのは真っ赤な色の小さな傘で、その二人分には狭いであろう傘に真田先輩は入っていった

――悪い事しちゃったかな

そう思って、謝罪の言葉を出そうにも部室のドアは閉じられ、私は一人きりだった




「あーらら、振られてらぁ」





突然ガチャリ、と開けられた裏口の音と、狙い済ましたかのように間延びされた声に私は振り返らずに黙る

ガリガリ、と頭を掻く音もでかい立海テニス部の新部長はどすどすと無神経に近寄ってくる



「うるせえよ、存在が」

「口わりー」



何がおかしいのかぎゃはは、と赤也は笑う

私はちっともおかしくないので、振り返って賛同なんてしてやらなかった

ザァザァと雨音だけが響く




「しらねーの?」

「何が」

「真田副部長に彼女いること、しかも7歳年下の、あり得ねーよな!つーか犯罪?」

「30くらいになれば自然になるでしょうよ」

「知ってたんだな」

「真田先輩のことだもん、知ってる」




私は視界の端にちらちら浮かぶ赤い傘を思い出す

とても小さな傘だった

今思い起こすともっと小さいような気がする

しかし持っている女の子がとても小さかったから

赤い傘が視界の端を離れないのだ




「すき?」

「真田先輩がね、大好きよ」

「ロリコンの老け顔が?」

「子供好きの大人びた顔立ちの人よ」

「暴力ふるうんだぜ」

「相手の非を正し、自分の信念を曲げない人、素敵」

「美化しすぎ」

「恋は盲目だもの」



私はふうとわざとらしくため息を吐いた

初めから真田先輩がどれほどその女の子を大切にしているかどうかなんて知りすぎているし、私の思いに気付かないのも知っている

気付いて欲しいだけだから、なんて言って雨なのに、卒業式なのに、時間が無いのに部活に呼び出して、好きって言って

困ったような顔をする真田先輩に、うそですも言えずにゆっくりと振られた

本当に盲目だ

好きに気付いて欲しい、じゃなくて、好きになって欲しいって思う自分の気持ちに気付けないなんて




「俺じゃ駄目?」

「寝言なら寝ていって」

「マジで好き」

「ごめんなさい」

「……マジだって」

「だったら余計無理」



ちらちらと赤い傘が揺れる

最後のチャンスだと思った

彼の優しさに漬け込もうと思った

でも、私は雨の中走ることが出来なかった

私には雨を防ぐものを持っていなかったからだ

悲しいとは思わなかったし、辛いとは思わなかった

ただただ切ないだけだった

それは、まだ今も同じ

まるで自分で自分の胸を引き裂く感覚だ



「ネクタイくらい引きちぎっとけば良かった」

「未練やろー」

「上等じゃない」




この思いが叶う事なんて無い

成就なんてもっと無い

消え去る事も出来ない思いは、忘れる事もなくずっと胸の中に

この雨が止みさえすれば、もう雨の降ることも無いだろう




「こんなに好きだったとはね……」




それに気付けない私は、やはり見えてなかった

恋は盲目

だから、この思いはこのままに


負けず嫌いの私の苦笑いは赤也になんて見せずに、私は雨の中、傘もささずに威風堂々と歩いていった




旧日記から真田悲恋話

何気にマイスィとパラレルリンクしてるところが笑えた

ついでに、3/1の卒業式話

今見ると切ない



(脱兎)
書きたくなったから書いちゃえ江戸パラレルMIX(というほど混じっていない)

前編はテニス編、後編はジャスティス編

話は繋がっていますが、けっこうリアルな表現しているので苦手な方は脱兎

それでもいいわ!!時代背景がグチャグチャでも気にしない!!というお方は続きから読んでみてください

ちなみにいつものジャス学SSの右腕君設定です、はい


え?テスト?


知らないねぇ!!(よくない)



ではでは

(脱兎)

続きは此方

「……あれ」



3度目のT字路に遭遇した俺は首をかしげた

しかし首を傾げてみてもT字路が一方通行になり、その道がランに続くわけではない

ふぅ、と疲れをため息に乗せてみれば肩に下げたカメラ機材と鞄がずれる

俺はとりあえずそれらを肩に掛け直した


……太陽学園はこんなに広くなかったような気がするんだが


そんな事を呟いてさり気なく助けてアピールをしようと思ったが、周りには生徒も先生も業者さんも居ない

遠回り過ぎただろうか、まぁ周りに誰もいないのだからこんな小さなSOS誰だって見逃すだろう、俺だって見逃す

それにしてもここは埃臭いしかび臭い

俺が入学した年には新校舎が設立されて使われなくなったとは言え、倉庫ぐらいには使われているだろうに

それに夕日が高いのに薄暗い、……だからカビが増えるんだ、と俺は廊下の面積を圧迫するように備え付けられたダンボールを蹴った、勿論舞う埃

これなら幽霊が出るという噂が立ってもおかしくは無い、そういえば去年の夏にランに戦時中の軍曹だか将校だかの幽霊が出るからと付き合わされたような気もする

しかしあの時は夜だったし、なんにせよ去年の事だ

過去は振り返らない、……だから振られたことも流すことにしよう、うん

とりあえず、場所は何故か旧校舎、本日3度目のT字路、ランと逸れてしまって現在

やっぱカッコ悪いかな、校舎内で迷子なんて

俺は呟いて、振り返った





「……カッコ悪いだろう、それは」





目の前に、赤軍服の幽霊がいた





◆3毒番外~少年は少女に恋をする~◆




「考え事をしていたら置いていかれた」




貴様はそういうのだな

そう言って赤軍服の幽霊――、もとい忌野雹君は呟いた

男にしては珍しい白い長髪を蘭のより高い位置でポニーティルにして(何故か似合っちゃうから不思議だ)服装は赤い軍服

一見何時代の幽霊かと悩むが実は現代人で生きているらしい

……喋り方も時代錯誤っぽいんだけど、まぁそれも個性だろう

そう思って、俺はこしに下げてある刀には目を向けないようにした

きっと触れてはいけない甘酸っぱい何かなんだろう(違)

こんな旧校舎に居る理由と同じように、多分、聞いちゃいけない(俺と迷子でもないだろう)

出口に案内してくれるんだから、聞いちゃいけない

……実は悪霊というオチであの世に引きずり込もうとしている、なんてないだろうな

色んな考えが頭に巡るが、めんどくさいので考えない事にして軽く頷いた



「……まぁ、そんな感じ」


「しかし貴様が連れと逸れた言っている南階段からここの旧校舎はかなりかけ離れているぞ」

「……方向音痴、らしくて、俺は」

「自覚していないのか」

「………すみません」

「妙な奴だ」



ふ、と忌野君は小さく笑う

こつこつと歩くスピードは変わらないのに、とても自然な笑みは俺の記憶い張り付く

そして出てくるランのあの少し含んだ感じの笑み

忌野君の方が俺より少しだけ背が高く、そしてがっしりとした体つきなのにランより笑顔が綺麗だと思った

忌野君男なのに(顔は凄く美人、うちのクラスの美少年を思い出す)





「貴様も難儀だな、連れが目の前から消えるなど」

「……ああ、その、考え事してた俺が悪いんです、その、何と言うか何度も注意されたのに、その」

「何だ」

「………すいません、俺、こんなに喋る事になれて、なくて、グダグダで」

「――いや、私もそれ程得意ではない、こんなに喋るようになったのは最近だ」

「……そうですか」

「似ているな、置いていかれる所といい話下手な所といい」

「……似て、ます?」

「かもしれん」




俺は忌野君の横顔を見た

面白そうだった

……うーん、やはり美人の考える事はよく判らない

と、俺はあることに気付いた



「……忌野君も置いていかれたのか?」

「ああ、置いていかれた」

「………酷い奴だな、こんな所に忌野君を置いていくなんて」

「フ、いや、ここに置いていかれたわけではないさ、しかし、置いていかれた」




だからこうやって捜している、と忌野君はそう言った

……こんな所じゃなくてもっと捜す場所があるんじゃないか?

俺はそう思ったがまぁ人には考えがあるんだろう

……そういえば忌野君、見たことが無いが太陽の学生なのだろうか

見た目は大人っぽいし、後輩って事はないだろう

しかしこんな先輩は見たことがない、同年代としても、いくら規則が緩い太陽でもこんな制服革命は隼人先生あたりが許しそうも無いし、赤の軍服姿の美形ならいくら俺でも忘れそうに無い

しかし太陽の学生じゃなければ、太陽の学生でもあまり来ない旧校舎に何故足を踏み入れているのか

昔から美形と謎はワンセットというか、……謎は深まる




「……捜しているのか、置いてかれたのに」

「ああ、というか置いてかれたというより逃げられたというのが表現に正しい」

「………追いかけているのか」

「ああ、逃がすつもりは毛頭ない」




ぎらん、忌野君の茶色(そういえばランと同じ色だ)が光る

俺は一瞬寒気がしたが、忌野君が言った「逃がさない」と言う言葉に引かれた

逃がさない

ずっと追いかけた背中を

自分の中心を

もう、届かないのに




「……忌野君は好きな子、いる?」




何を話しているんだ、と俺は思った

いつも喋りなれていないからか、少し喋っただけで口が軽くなるようだ

忘れてくれ、そう俺は言おうと忌野君の方を向いた

忌野君は瞳を大きく開けていた

もっと言うと、なんか、驚いているようだ

……まぁ驚くわな、初対面の男に恋愛経験(?)を聞かれるなんて

とりあえず、忌野君がこの質問を無視してくれることを願って出口まで歩くことにしよう





「………まぁ、いる」





答えてしまった


こっちが質問してしまったから無視は出来ない、俺は忌野君の方を見る

薄闇だから見えにくいが少し頬が上気しているようだ、ついでに先ほどまで纏っていた威圧感が消えている

忌野君は俺のじろじろとした視線に気付いたのか、咳を一つして、平静を取り戻した(つもりだろうか、今でも動揺している)



「いや、好きというか、ただ好むというか、……その、よくわからんが、大切な奴だ」

「……」

「思えば変な奴だがな、あけすけなく物を言う癖にへっぴり腰で……、いつまで経っても読めない奴だ、こうと言われて並べられる句が思いつかない」

「………変な奴、好きになったんだ」

「……かもな」



いつのまにか俺も自然に笑っていた

……おかしいな、あんまり笑う事ないのに

忌野君、威圧感はあるが優しい性格なのだろうか

うちのクラスの美少年はあんなに冷たいのに、世の中には色んな不思議な人がいる




「……俺も好きな子はいた」

「逃げられたのか」

「……振られた」

「――」

「……片思いで、一週間前に振られた」

「――そうか」

「………大切で、大好きだった、だから一緒にいたくて、でも触れられなかった」

「難儀だな」

「………そしたら、相手に好きな人が出来た」

「勝てないのか」

「……その人は、カッコよくて、頭も良くて、友達もいて、それから沢山俺に持っていないものがある」

「そうか」

「……そんな事考えてたら、置いてかれた」



好きだった

本当に本当に好きだった

明るい笑顔も大きな笑い声も、親父臭いところもあるが、ロマンティックなものが大好きで去年の文化祭のラストを彩ったキャンプファイアーに引っ張って連れて行かれた

……そういえば去年のバレンタイン義理と大きく念押しされてもらったチョコに、言われたとおり十倍返しで高機能デジタルカメラを上げたのだが、何とも微妙な顔をされた

置いといて、写真にかける情熱は誰よりも強く、周りを顧みないように見えれるがホントは誰よりも優しく、少し傷つきやすい面もある

そんな強さも弱さも固さも脆さも全部全部全部好きだった

誰にも渡したくない

これだけは、誰にも譲る気はない

今でも、ちゃんと言える





「だったら、言えばいいだろう」





忌野君は何てことなく言った

……いえないから片思いなのに

俺は忌野君の横顔をみた

いつのまにか此方を見ていて俺を馬鹿にしていた



「言いたいことがあるなら言えばいい、したいことがあるならすればいい、全て引っ込めて逃げるよりは、格好はつくだろう」

「……」

「愛情の行き過ぎは拷問と犯罪だが、そこまで相手を想えているのなら、相手のことを考えてられるのなら、思いの端くらいを伝えても悪い結末にはならんだろうよ
「………」

「譲る気はないのだろう?」




私もない、そう言った忌野君はとてもきれいだった

綺麗で、綺麗で、本当に綺麗

この薄闇の果てに見えるオレンジの光に照らされて本当に綺麗に見えた




「……逃がす気はないのか、忌野君は」

「ああ、だからココまで来ている」

「……俺は、逃げたいのに」

「逃げられた奴の気分を考えろ、――最悪だ」

「……もう間に合わない」

「走ればいい、全力で此方を振り向かせればいい」

「………意外とアクティブ」

「そうでもしないとアイツは戻ってこん」




忌野君は重々しくため息を吐いた

俺はおかしくなって笑った

オレンジの光が強くなる

出口は近い




「ふ、……少しガラもなく喋りすぎたようだな」

「……ん、俺もこんなに喋ったの久しぶりだ、……おかげで喉が痛い」

「そうか、……この場所からかもしれんな」

「……」

「丁度この旧校舎で、アイツも迷っていた」



私とアイツが初めて出会った場所だ、ここは



そのときの忌野君の表情は見えなかった

オレンジの光が強力で、見えなかった

出口にたどり着いたのだ



「……出口」

「そうだな、――ん?」




旧校舎から一歩出て、鉤型に本校舎へと繋がる渡り廊下に人の塊――5人だろうか

まだ光になれない目に一番に映るのは白い学ラン、――多分、鑑君

そしてその差し向かいに立つ少女

黒髪のポニーティル、カチューシャ代わりのオレンジサングラス

新聞部のベスト、赤い腕章

ひびき蘭が、そこにいる




「……ら」



愛しい幼馴染を呼びかけようとして、時が止まる

遠めに見える、あの茶色が混じったタレ目が腫れていたのだ

目元も真っ赤

鼻の頭も赤い

そうこうしてるうちにまたポロリ、とこぼれる

間違いない、あの気丈なランが泣いている

俺でさえあの日以来見たことがないランの涙が其処にある

ランの向いには白い学ラン、鑑恭介



――鑑君だから諦めたわけじゃない

――ランが選んだから、諦めたんだ

――鑑君なら、じゃない

――誰だって




「ランを泣かす奴は許さん」




そんな訳で、まぁ、頭に血が上っていたのだろう

忌野君が背中を押してくれたわけではない、でも許せない

ランが好きだ

ランが大好きだ

だから、普通考えれば判る事だ

ランの向いに鑑君が居ても鑑君がランを泣かすとは限らないし、どちらかと言うとかランの方が鑑君を日々泣かせている(色んな手を使って)

それに、周りに鑑君以外3人いる(後でわかったのだが、一文字君、うちのクラスの美少年、絶叫男君)

そう思えば、品行方正で風紀委員長な鑑君がランを泣かせる確率はとても低いのだが

ランの涙に、考えが追いつかなかった

そんな訳で



「きょ、恭介ェ!!??」



その名の通り叫ぶ、絶叫君

珍しく、というかかなりレアに驚いた顔の美少年

あんぐりと口を開けた一文字君

忌野君は、後ろに居たので見えないけど、驚いているだろう

ランは知らない

俺が見ていたのは、俺に殴られて吹っ飛ぶ鑑恭介だけだ




「……まぁ、これが俺に出来る精一杯のアピール」

「遠回り過ぎだ」




忌野君に突っ込まれる夕日の中、まだまだ続く放課後

エーススプーカー、熱血少年、毒蜘蛛、絶叫男はまだ叫んでいる

風紀委員長を殴(り飛ばしてしま)ってこれからの学園生活ピンチな失恋男が一人

とりあえず、これも青春と銘打って流してしまおう



「……ついでに逃げていい?」

「カッコ悪いだろう、それも」



そんな訳で、以下次号

待ちたい奴は待ってくれ



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