玉砕!
そんな訳で本能寺らへんと思ってください
あ、受要素一切無いです(すいません)
SSにならなかった駄作ですが、どぞ
ああ、死だ
そう気付いた時には自分の身体は燃え上がっていた
床から足に、壁から腕に、髪が焼け皮膚が爛れ、焦げ臭い匂いが体中から漂ってくる
気持ち悪い、骨まで軋んでいく
笑うのはあの男
狂ったように叫ぶ、美味そうだ、美味そうだと
あの男は酷く臆病だ、いつも鎌を構えねっとりとした恍惚さえも感じる視線を此方に向けながら一切線を越えない
此方も越えさせないような態度をとってきた、越えさせるつもりはなかった
しかし、今でさえ我が紅蓮の炎に燃え盛っていようとも手すら伸ばさない
多分この男は最期まで我に手を出すことは無いだろ、我の骨が灰になってもまだ
詰まらん
下らん
瞳を閉じたかったが、瞼は焼け動かせなかった
熱を感じなくなった
もとより暑さも寒さもよく知らぬ
闇だけがあるからだ、その身体には記憶もなかった
――その筈が
走馬灯などというモノを信じる訳ではないが、思い出す
尾張の空、地、山、林、竹千代を連れまわした草原、犬に馬を引かせて、猿が隣にいた
自分の隣にいたがった丸、共に戦うと言い死んだ女、濃、―――帰蝶
つまらなかったといえばつまらなかった
楽しくも無かったし、酷く退屈だった
今思えば天下もさして欲しいものではなかった
ただ、この世が気に食わなかった
自分の思い通りにならない世界
ただそれが嫌いで、その他は――
網膜が赤に染まる
生き残った耳はどすんという音を伝えた
染まったのは炎か血か
倒れたのは己か明智か
ただ堕ちた我の手を掴んだその腕の主だけが酷く気になった
相手は伊達だろうが信玄だろうが豊臣だろうが(え)ご自由に
(脱兎)
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