んでもって、ジャス学SS
ずっと前に書いたアホくさい続雹夢
テーマ、幸せってなんだっけ(細木〇子かよ)
とりあえず、雹右腕夢
雹がいつも通りおかしいです
主人公×雹っぽいけど、雹×主人公です
と、いうか、二人ともノンケです
しかしBLっぽいので注意
では
浅いとも言えないがしかし深くも無い
まるで夢を見ない鯨のような夢から目覚めてすぐに俺は後悔した
……いや、別にいいんだけどさ
「あー……痛ェ」
寝すぎなのかわからないがやたらとガンガンと痛むこめかみを抑えて、仰向けの姿勢のままで俺は眼鏡を捜した
しかしいつもなら大分ぼやける視界が、―――少し目が乾いているながらも、何故かはっきりしている
ぼりぼりと頭を掻きながら、しまったしまった、コンタクトをつけたままだったかと納得する
やべーやべー失明するじゃん、俺
でも後悔してももう遅い(まぁすぐ外せば大丈夫だろう)
気付けば服も制服のままだし、と、いうかここ生徒会室のソファーじゃん、もしかして俺、また生徒会室で居眠りしたの?また雹に起こられるじゃん、俺
そんな事を寝起きで上手く働かない頭で考えて俺は頭を掻くのを止めた
とりあえず、起きよう
雹が来る前に起きて、言い訳して、お茶でも入れれば切られる事も無い
俺は腹筋を利用して起きようとした
しかし、起きれなかった
「…………」
何だ
こりゃ
「………うおおい」
絶対にして究極、冷静にして極寒、向かうところ敵なし、刃向かう敵には命なし
銃刀法違反からピンポンダッシュまで何でもござれ
ジャスティスの名の元に、俺がルールな17歳、我がジャスティス学園生徒会長忌野雹様(とんでもねー苗字)
そんな、忌野雹が
俺の腹の上に、――すやすやと、背筋が凍りそうなほど、かあいー寝息を立てて
俺の胸に顔を埋めて、―――すやすやと
顔は見えないけど、きっと安らかな寝顔をしてるんだろう
俺の体にぴったりと添うように、忌野雹は、いる
勿論、足までぴったりと、合わせて
「……えーとぉ」
眠気なんて吹っ飛んだ
吹っ飛んだが、今度はパニックだ
何で、何で雹が俺の上に居る
たしか俺は今日、6時間目までしっかりと勉学に励んで、放課後、所属している生徒会にやってきて、でも生徒会長である雹も、書記の九朗も着てなくて、昨日夜更かし(伐に貸してもらった格ゲーを)してたから眠くて眠くて、でもジャスティス学園で授業中に寝たら雹にどんな目に合わされるかわかんないから頑張って起きて、だから放課後眠くて眠くて、いい感じに柔らかいソファーがあったから、ちょっと眠ろうと思って寝て起きたら、腹の上に雹がいた
何事にも整理整頓、ごちゃついた思考回路を綺麗にする基本中の基本というが、あまり意味が無かった
しかし考えても考えてもわからない、つーかわかっちゃいけないような気がする
もう一回、現状説明
俺は寝ていた、――生徒会室のソファーの上で
すやすやと、何も夢を見ない鯨の夢を見た、―――仰向けの姿勢のまま
そして起きた、―――腹の上に雹が居た
俺と同じ制服のまま、俺の胸に顔を埋めて、まるで倒れたそこに俺が寝ていたといわんばかりに、ぴったりと俺の上に俯けに乗っかって
わからん、何度考えてもわからん
「よ、ほ、よっと、ほ、ほほー!!」
狭いソファーの上、何とか雹の下から逃げ出そうと頑張って見るが、身長:183cm、体重:67kgの巨漢を、体全体に体重をかけられて抜け出せるほど俺の力は強くない
――一種の望みとしてだが、これが雹ではなく、雹のコスプレをした恭介さんだったら、と思ったがそれは無意味だ
あの雹と恭介さんは双子(一卵性らしい)
体格もほぼ同じだったら現状は変わらない
……この前雹に腕相撲勝ったんだけどなー、雷蔵先生には負けたけど
俺は無駄な抵抗を止めて、考える
というか、こんまま暴れてソファーの上から、つーか俺の上から雹を落としたら、殺意の波動に目覚めた雹(ネタ古)に熱血コンボ(+エアバースト系)を決められかねない
命は惜しい
今週の最後に委員長ちゃんとデートだし
今まで粘って粘ってアタックしつづけて勝ち取ったデートだし
まぁ、前の週にあったひなたちゃんのデートも楽しかったけど、ティファニーちゃんとしたプールデートも良かった、ザキちゃんもかなり……
いやいや、幸せな過去の記憶と未来の俺に思いを馳せる前に、今現在の最強に最悪な現状を何とかしなくてはならない
「雹ー、雹ーぉ、起きて」
とりあえず、体を起こす事は出来ないので雹の(多分)頭を叩く
髪の長さに対してありえないほど細いポニーティルを引っ張ってみても起きる気配は無い
髪の毛引っこ抜いてもいいけど、あとが恐いのでやめる
――つーか髪やわらけぇし、細いし、冷たいし、サラサラしてるし、こんな括り方しなくたら髪痛むのに、何考えてんだアホ
指に雹の髪を絡ませながら俺はのんびりと感想を洩らす
くそぅ、駄目だ駄目だ駄目だ、俺
何で俺が雹の髪と髪質と頭皮の心配してんだよ、関係ねーし
俺は男に趣味はねぇ、雹がどれだけ美人で性格が俺の好みのツンデレで真面目馬鹿だとしてもだ、身長雹の方が高いし、俺は男のケツを掘る趣味もなければ掘られる趣味も無い
俺の後ろは一生出す事にしか使わないつもりだ
ソッチ系はソッチ系の人に任せるし、俺的にそんなやつ等は一生俺の知らないところで活躍して欲しい
とりあえず、そんな俺は俺じゃない、勘弁して欲しい
「ひょーう、こんなトコ九朗に見られたら、また俺等ホモにされっぞー」
一週間ほど前
いつまで経っても生意気なままの九朗に灸を据えてやろうと雹を使って遊んだ事を思い出す
まぁ変な風には手を出してないし、九朗の体にも手を出していないが結果的には成功だった
しかし後遺症が残ってしまった
俺が満足するまで遊んだ後、さぁ帰ろう、と思って九朗の方を向くと、九朗は『先輩達はおかしいです』と、ものすごく青染めた顔で、生徒会長机の下にもぐりこんでガタガタ震えていた
あん時は大変だった
ゆりかちゃん呼んで説得して、『もう生徒会室で膝枕して耳掻きしないから』と約束して『無闇に押し倒したりしない』とか『抱き合ったりもしない』、その他色んな事約束して何とか許してもらえた(する気ねぇけど)
……冗談だったんだけどなぁ
そういえば俺の周りに冗談通じる奴いない
この前のエイプリルフールに冗談で伐に『雹を孕ませました』って言ったら何か雫さんが俺の家に訪ねてきて、雹を幸せに出来るのか、泣かしたら許さない、と言われ、雷蔵校長と数時間話し合って、これからの事、同棲するのか、高校はどうするのか、生徒会の後釜、というか赤ちゃんどうやって産ませるんだ?なんて事を話し合い、待ってくれ、頼むから話を聞いて、というかちゃんと常識で考えようよ、という俺を問答無用とばかりに恭介さんはラストシンフォニー繰り出し、俺はそれを鳩尾に重点的に食らって病院送りになった
意外とさ、俺んちでも雹って大切に――、勿論恭介もだけど、大切にされてるからあんまンな事言うなよ?
唯一見舞いに来てくれた伐が俺に林檎(ノーカット)を食わせながらそんな事も言っていた
ただたんに常識人がいないのでは、という俺の返答にマザコン少年はフォークまで俺の喉に突っ込み、俺の入院期間は延びたのであった
「ひょうー……」
何で、と思う
何で俺はここにいるんだ、と思う
中学三年生まで、俺は立海中学に在籍しており、このままのらりくらりと学生生活を送っていればジャスティス学園なんて一生関わらなかったのに
それは高等部に上がっても変わらなかったし、テニスだって頑張ってたんだぜ?レギュラーも御情けとはいえ取れてたし
どこで狂ったんだっけな、俺の人生
――俺の、傍に居ろ
一年前
雹が起こした、高校生無差別襲撃誘拐事件
それに巻き込まれたあのアホアニキを助けるために、単身乗り込んだジャスティス学園で雹に出会った
――もう、一人は
そう言って、―――まぁそれだけしか言わなかった雹に
俺は、うん、と頷いて立海高等部に退学願いを出した
そして、編入試験を受けてジャスティス学園に入学して、生徒会入って現在
おかげでひなたちゃんやティファニーちゃん、響子先生やゆりかちゃんやその他もろもろの美少女&美女に出会えてよかったのだが、立海にだって可愛い子は沢山居た
それでも、俺は(いくら顔がいいとは言え体格から言ってバリバリな)男のお願いを聞いたのだ
何となくだ、何となく
何となく、あの時の雹がほっとけなくて、俺はジャスティス学園に来た
全てを捨てて
「一目惚れって奴か、うわー、我ながらキモい」
俺は雹の頭を撫でながらため息を付いた
もういい、もういいさ
別に雹とこれ以上どうこうなる気ねーし、なったら逃げると思うし、なりたくもない
でも、不安がないわけでもないんだけど、しかし身長183cmの巨漢を犯せるわけもなく、多分一線を越えるなら雹から、だと思うけど
雹が受けだったら、とか考えたくないんだけど、その可能性はあるし
だったら雹が攻めだったら、と思うけど、それなら俺は大人しく――
「あのさ、雹」
聞き逃しても構わないけど、忘れないで
雹のポニーティルを弄びながら、そんな、女の子みたいな事を思う
「俺さ、男なんかより女の子の方がずっとずっとずっとずーっと、大好きだけど愛しちゃってるんだけど、男では雹が一番好き」
そう言って俺は目を閉じた
ものすごく照れくさかったし、恥ずかしかったからとは言わないけど、このまま行ったらちょっとした事でソッチ系に足をつっこみそうだからと思ったからだ
押し倒せる度胸も自信も無いしね
俺より雹の方が強いし、というか刀持ってるし
無理やりってのがばれたら既遂未遂関わらず恭介さんに殺される
雹が女だったらいいのに
そしたら、俺はきっと
「おやすみ……」
すやすやと、かあいい寝息を立てる君に、この平穏がずっと続けばいいと願う
いけない妄想や、考えそうになる危ない道
そんな事にびくびくしながら生きる今
平和が一番、一番は平和
初めて出会ったときの、あのボロボロな君はもう見たくない
だから、俺は傍に
これからも、ずっと
君だけの傍に
「……恥ずかしい事を言うな、馬鹿が」
過去の傷、甘い嘘、優しい祈り
全てを舐めて、全てを埋めて
平和な今、優しい今
時間の流れ、逆巻く潮
夢の海原を君と泳ぐ
鯨の夢を、また見よう
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