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(光秀→織田ヒロイン)
(若信時代です、しくよろ)


吐き気がしますと苦々しく呟いた貴女の喉を今まさにかっ切ろうと鎌を当てているというだけで心が沸き立つ感覚に襲われる。相反して安堵。私にも貴女にも戦場にもこの状況にも不似合いな言葉が脳裏によぎる。思わず肩の力を抜いてしまい、あやうく貴女を逃がしてしまうところだった。いけないいけない、楽しみというものは最後に味わう主義だが不注意で逃がしてしまえば元も子もないと健やかに焼けた喉に先ほどより強く刃を当てた。
にじむ、あか、
「光秀公……ご冗談を」
「冗談ではありませんよ」
壁際に追いつめられて尚光る瞳は美しかった、なめらかな頬の線をたどる汗も。クソッタレ。貴女の唇が動く。その瞬間でさえ貴女は私に気を許しはしない、いいえ。一度も許された事はなかった。
「信長公は助けにきませんよ」
「若様には一歩たりとも近づさせません!」
悲鳴のような声。那古屋城の主を若と呼べる女はただ一人。この世の気まぐれと駄々をかき集めたようなうつけを簡単に手のひらに乗せ、転がすように愛でる貴女をいつも見つめていた。誰と、とはいわない。ほら貴女の顔が曇る。
「おやおやずいぶんですねぇ」
「…貴殿が帰蝶姫に岡惚れなさっている事は知っております。ですが、帰蝶姫は若様の御正室。従姉弟といえど、少しは身の程を弁えては如何かと」
「貴女のように……?」
鎌に顎を乗せ、ぐいと上げると貴女の顔がよく見えた。私をあざ笑い、見下し、非難するそのふざけた顔が。
いつもそう。ため息が出る程に
「下がりなさい」
「……」
「光秀公、女が欲しいなら美濃へ帰りなさい。尾張は全て若様の御随意に在らせられる場所。生きる人全て若様のもの。帰蝶様も私も貴方でさえも」
「……貴女は」
「若様が今よりずっと小さき頃より若様に仕えておりました、若様はこの尾張に留まり続けるような方ではありません。これより先、若様は天下をお取りになります」
ぐり、と刃のない部分で細い喉を押すと嘲りが消える。これを逆手に持ち変え、少しでも引っかけば私好みに染まってくれるのだろうか。私にはわからない。わかるはずなのにわからない。
「貴方程度に、邪魔はさせない………」
ああ。信じてもらえない言葉を嘆くべきか、焦がれるような悦楽に身を委ねるべきか。とりあえず貴女の喉を切り裂いてしまえば、この言いようのない不快を取り除けそうな気がしますよ。目を閉じなさい、開けば絶望が待ってますから。何故かどうして私は貴女の血を見たくないしけど殺したい。絶望だって味合わせたくない。それでも貴女が私を下衆というなら、仕方ない、殺してしまう他にはないようです。さようなら、さようなら、貴女の骸を見つけた信長公の言葉を墓前に添えて上げますよ。私は貴女の脳天をめがけて鎌を振りおろした。
「こんなにも貴女を愛してるのに」
「吐き気がしますよ、光秀公」




織田ヒロインは若様付きの侍女だけど若様が城主になった頃(六歳?)からずっと付き従ってる。年齢は若様より少し上くらい。
ちっちゃい頃から若様はヒロインに勝てない、何してもやんわりやりこめられる。帰蝶の輿入れには一躍かっているので、ぶっちゃけ早く子が見たい。いつも暇さえ在れば若様をせっついてる。なにげに経験はあり。
若様が幸せに生きる世界が何よりも至福なので、それを怖そうとするものには容赦ない。
若様が信長様になるあたりで死ぬと思われ。
明智は報われんので悪しからず。






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