注:知識がないので喋り方がまったくわかりません(をい)
主人公の頭が緩く、ザンザス様がヘタレてますがそれでもいいなら↓
キスくらいでがたがた言うな
生娘じゃあるまいし
そういってザンザス様は、豪奢な装飾の部屋の隅に、ぺっ、と唾を吐き捨てました
じんわりと絨毯が滲みます
さきほどまでの私なら汚いですザンザス様、唾をお吐きになるならかまいませんが絨毯は止めてくださいませ、のちのちの清掃が大変ですと言えたはずなのに、今は金魚みたいにぱくぱく口を開けたり閉じたりして居るだけで言葉が出ない
ああなんということでしょう
私は家光様に「ザンザスにそんなべらべら忠告できる奴はお前くらいだよ」と雇われた身であるのに
このままべらべら忠告できないと私は首になってしまう(誤字ではない、マフィアの退職=死なのだ)
まだ死にたくないよぅお母さん
死ぬ時はおなかいっぱいパスタとドリアと冷や奴と抹茶アイスを食べてから死ぬと決めて居るのに
私は潤み出す目を何とか止めて、機嫌悪そうにソファーにふんぞりかえるザンザス様に抗議しました
「きむすッ」
「……舌をかむな」
ザンザス様はいらいらした様子で即座に突っ込みました
今回の遠征でジャポーネの関西地区に行かれたのでしょうか
その突っ込みは刃のように鋭くとげとげしています
おこってらっしゃる
それも、とても
先ほどまではあれほどまでに機嫌がよかったのに(アロちゃん曰くいつでも同じらしいが)
今ザンザス様の目の前で散らばって居る書類に目を通し、順調にお仕事していらっしゃったのに
だから私はコーヒーでも、と思い、とびきり美味しいコーヒーを居れてもってきたのに
今やそのコーヒーはお盆と共にひっくりかえり、豪奢な絨毯に染みを作っている
あああああ、きっとこれはお給金から引かれしまう
これから何回タダ働きをすればこのクリーニング代を払えるのだろう
いくらザンザス様が気の短いお方であっても今回怒りたいのは私なのだ
それに私のカミ癖はザンザス様も知っていらっしゃるだろう
ベル様の本名はともかくアロちゃん(紹介しおくれたけど、私の一番のお友達です、髪が長くてとても綺麗な子なのです)の本名も私は言えないというのに
三文字あればかんでしまう
それは仕方ないことだ、お前は馬鹿だからなとアロちゃんもわかっているのに、ご聡明なザンザス様がわからない事はないのに
どうして怒られなければならないのだろう
またベル様が何かして、その怒りが私に向かっているのだろうか
そんなの切ない
「キスは……挨拶だろうが」
私がいつまでも黙っていたからでしょうか、ザンザス様は決まり悪そうに呟きました
そうです
私が頑張っているザンザス様にコーヒーを御出ししたらザンザス様は(ザンザス様曰く)悪いな(もっと殺伐したもの言いでしょうが)、の挨拶をしたのです
「私の国では違います、私の国では朝はおはよう、昼はこんにちは、夜はおばんです、感謝はおーきに、ちゅーは恋人同士がする神聖なものです」
「あ?ここはイタリアだ」
ジャポーネじゃねェよ、とザンザス様は言いました
「イタリアなのはわかってます、現にレストランに行っても私の好きな湯葉巻きは出てきません」
「そうじゃねェ、お前のボスは誰なんだと言う話だ、ボスの言う事には従えねぇのか」
「御言葉ですが私のボスは家光様です、なぜなら私の雇主は家光様なのだからです」
ザンザス様はぐっと詰まりました
そしてぎらぎら光る目をもっと光らせてこちらを睨みます
私は(きっと余計なことを言ったんだ!!)怖くて怖くて縮み上がりました
「……郷に入れば郷に従え、イタリアではキスは挨拶、わかったか」
それは日本語の諺というものではないのですかと私はジャポーネの関西地区出身者として突っ込もうとしたがザンザス様はとてもお怒りだったので止めた
そしてちゅーが挨拶なんて、イタリアはとても情熱的な国だなー、と私は思い、納得した
だからいまだに少しわなわなと震える唇と舌をきっ、と結びザンザス様、挨拶とは知らず腰を抜かして、なおかつザンザス様にビンタ(未遂)という失態をしてごめんなさい、どうか命ばかりはお許しを、と謝った
すると
「お前から挨拶すれば許してやる」
と、にや、と笑ってザンザス様はおっしゃったので私はバクバク言う心臓を落ち着かせ、ソファーで優雅に座って待っているザンザス様のところに行きにごめんなさいの挨拶をした
やはり日本人の私には恥ずかしく、少し震えてしまったがザンザス様は満足気でしたので私も嬉しくなりました
しかしその後
あれから御邪魔しましたの挨拶をし、ザンザス様のお部屋を出た私は廊下を歩いている任務から帰ったばかりのアロちゃんとリア様を見つけました
私は難しい任務と言われていたのに元気に帰ってきたアロちゃんを見てとても嬉しくなり、急いでアロちゃんにかけよってさっきザンザス様に教えてもらった挨拶をアロちゃんにしました
するとアロちゃんはいきなり顔を真っ赤にして怒り、私の頭に(いつも通り容赦のない)拳骨をたたき落としました
その後アロちゃんは涙目になる私をほっぽってどっからか慌ててやって来たザンザス様の胸倉を(なんて事を!!)掴んで大声で怒鳴りました
うぉぉい!!アンタがこの馬鹿に手を焼いているのはわかるがこの馬鹿に余計かつ間違った知識を与えるんじゃねぇ!!キスは挨拶かもしれねぇが舌をあんなに突っ込んで絡ませるもんじゃねぇだろうが!!
被害はいつも俺に来るんだぞぉ!とまだ喚いて居るアロちゃんとチッまたお前か……とぎりぎりと歯ぎしりするザンザス様を交互に見ながら、やはりヴァリヤー(うまく言えない)に勤めるのは無理ではないのかと思い直しました
しかし、よしよしと頭をなでなでしてくれるリア様の手が優しくて私はやっぱりヴァリヤー(うまく言えない)にいようと心から思いました
その後、アロちゃんに「挨拶のちゅーは口にするもんじゃねェぞ、頬にするんだ」と教えられ、じゃあ頬に、とアロちゃんの頬に挨拶したらまたアロちゃんに拳骨をもらい、それをどこからかは知りませんがなぜか見ていたザンザス様にお怒りを受け、マーモンに馬鹿じゃないかと罵られました
まだいろいろ慣れないですが頑張ってイタリアの文化になじんでいこうと決意した今日この頃でした
end
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